エアコンは冷房よりも除湿の方が電気代が高くなる?つけっぱなしの方がいい理由も解説
2022.02.23
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夏に大活躍するエアコンですが、電気代が気になるという方も多いと思います。
エアコンには、「冷房」と「除湿(ドライ)」の機能が搭載されていますが、どちらの方が電気代は安くなるのでしょうか。
この記事では、冷房とドライの違いやどちらがよりお得になるのか、またエアコンはつけっぱなしにした方がいいという理由を解説しています。
この記事でわかること
それぞれ気になる話題をタップすると該当の見出しにジャンプします。
INDEX
エアコンの冷房と除湿の違いは?
夏に多く使うエアコンの機能として、「冷房」のほかに「除湿」があります。
冷房と除湿はどのように違って、どのように使い分ければいいのか、また電気代どちらの方が安いのかについても紹介しています。
冷房は室温を下げることができる
冷房は、主に室温を下げることを目的とした機能のこと。
具体的には、室内機と室外機をつなぐ配管の中を循環する冷媒が熱交換器を通して室内の熱をうばって、冷えた空気を室内に戻すことで室温を下げます。
空気が冷やされるとき、温度の急激な低下によって飽和した水蒸気が結露水と変化。
そして、この結露水がドレンホースをとおって室外へ排出されることで、室温を下げることができます。
室内の空気中の水分(湿気)を排出することになるため、実は冷房も除湿を兼ねていることになります。
除湿(ドライ)は湿度を下げることができる
除湿(ドライ)には、2通りの方法があることをご存じでしょうか。
室温を下げるには、湿度が高くじめじめとした空気をいったん冷やして水滴を集め、さらさらした空気にします。
しかし、それでは室温も下がってしまうので、次に温めてから送り出しています。これを「再熱除湿」と呼び、室温が下がることはありません。
ドライのもうひとつの方法は、湿度が高くじめじめとした空気を少し冷やして水滴を集め、さらさらした空気にして送り出します。
これを「弱冷房除湿」といい、室温は少し下がります。
エアコンの冷房と除湿はどっちが安い?
結論として、冷房・弱冷房除湿・再熱除湿、それぞれのモードでどのくらいの電気代がかかるのでしょうか。
室温を24度、湿度を80%、電気代を1kWh時あたり25円として計算してみます。
エアコンの機種によって差はありますが、冷房モードの消費電力が480Wのエアコンを使用した場合、弱冷房除湿は180W、再熱除湿は652W。
つまり、消費電力の大きさは「再熱除湿」>「冷房」>「弱冷房除湿」の順番です。
エアコンのそれぞれの機能を1時間ずつ運転させたときにかかる電気代は、以下の通りです。
- 冷房:0.48(kW)×1(時間)×25(円)=12円
- 弱冷房除湿:0.18(kW)×1(時間)×25(円)=4.5円
- 再熱除湿:0.652(kW)×1(時間)×25(円)=16.3円
再熱除湿の電気代がかさんでしまう理由は、水蒸気を減らした空気を再び温める工程によって消費電力が上がってしまうから。
除湿(ドライ)の方が電気代が高くなるというのは、再熱除湿を使用した場合の話ということです。
同じドライでも「弱冷房除湿」機能を使えるなら、電気代が大きく異なり節約につながります。
エアコンの弱冷房除湿と再熱除湿の簡単な見分け方
弱冷房除湿は湿度を除去し、部屋を涼しくしてくれるうえに、節約も期待できるということがわかったと思います。
ただ、再熱除湿であった場合、電気代は普通の冷房よりかかってしまいます。
基本的に、エアコンの除湿機能は特別な表記がない限り、弱冷房除湿だと思って問題ないでしょう。
なぜなら、再熱除湿機能は最新のエアコンにしか搭載されていないからです。
確実なのは、エアコンのカタログや説明書を確認することです。
説明書が手元にないという場合には、エアコンの型番をインターネットで調べると該当のメーカーのホームページで確認するといいでしょう。
エアコンのつけっぱなしは本当?
エアコンを何度も消したりつけたりするよりも、つけっぱなしにした方が電気代を抑えられるという噂を聞いたことがある人も多いと思います。
実際に、エアコンをつけっぱなしで運転させた方が節約につながるのか、またその理由とつけっぱなしがおすすめな人を紹介しています。
つけっぱなしにすると電気代が安くなる理由
まずは、どんなときに電気代は高くなるのか、エアコンと消費電力の仕組みを理解しましょう。
基本的に、消費電力が大きければ大きいほど電気代は高くなります。
電気代を節約するには、エアコンを運転する際に消費電力が大きくなるケースを知っておくことが重要。
エアコンは、室温を設定温度まで上げたり下げたりするときに多くの電力を消費します。
つまり、エアコンをつけた直後に最も電気代が高くなるため、こまめにエアコンの電源のオンオフを繰り返すと、その分消費電力が大きくなって電気代も高くなります。
設定温度にあわせるために多くの電力を消費することは、室温と外気の差が大きいほど消費電力が大きくなるため、つけっぱなしにした方が電気代の節約につながります。
つけっぱなしにした方がいい場合
エアコンをつけっぱなしにした方がおすすめなのは、ちょっとした買い物やごみ捨てなど、20~30分程度の外出で部屋を離れる場合です。
また、外気と設定温度の差が大きい場合にも、再度設定温度に戻すために電力を消費してしまうのでつけっぱなしにするのがいいでしょう。
電源を切った方がいい場合
普段からエアコンを使わないのであれば、1か月あたりの電気代が高くなってしまう要因にはならないため、つけっぱなしにする必要はありません。
また、外気と設定温度の差が少ない場合でも、すぐに設定温度に近づけられるので、つけっぱなしにしなくてもいいでしょう。
電力の消費効率を見直そう
エアコンの運転にかかる電力の消費効率をよくすれば、同じ使用時間、温度設定でも電気代を安く抑えられます。
それには、どのような方法があるのでしょうか。
最新のエアコンに買い替える
近年はエアコンの省エネ化が進んだことによって、昔に比べてかかる電気代も安くなっています。
当然古いエアコンよりも、最新のエアコンの方が電気代がかかりません。
もし使っているエアコンが10年以上前のモデルであれば、最新のエアコンに買い替えた方が電気代を節約できるかもしれませんよ。
しかし、エアコンは高額な買い物。
思い立ってすぐに新調するというのもなかなか難しいですよね。
そんなときは、今使っているエアコンの使い方を見直すだけで、簡単に節約できますよ!
▼こちらの記事では、電気代が安くなる最新エアコンをまとめているので、ぜひ参考にしてくださいね。
こまめなお手入れでコツコツ節約
エアコンのフィルターが汚れていると空気の循環効率が悪くなり、余計な電力を消費することになります。
定期的にフィルターを掃除して、清潔な状態を保つように心掛けてみてください。
エアコン本来のパフォーマンスを発揮できるようになり、無駄な電気代をカットできます。
頻度は2週間に1回が目安です。
掃除機や水洗いでフィルターの汚れをきれいに落としましょう。
面倒だからといって先送りにしていると汚れが落ちにくくなり、ますます大掛かりな掃除が必要になってしまいます。
忙しくてこまめに掃除ができないという方でも、最低1ヶ月に1回を目安にお手入れできるとよいですね。
自分でエアコンのお手入れをするのは面倒という方は、エアコンクリーニング業者にお願いするのがいいでしょう。
▼こちらの記事では、エアコンクリーニング業者のそれぞれの特徴や料金、サービス内容などまとめているので、検討されている方はぜひご覧ください。
室外機のお手入れも忘れずに
大切なのはフィルターだけではありません。
家の外にある室外機も、フィルターとあわせて掃除をしておきたいところです。
ちなみに、この室外機にも節約できるポイントがあります。
室外機には、エアコンが取り込んだ室内の熱い空気を排出する役目があります。
しかし、室外機周辺の温度が高いと熱を排出しにくくなり、消費電力が上がってしまうのです。
室外機はなるべく直射日光が当たらない場所に設置するのが鉄則ですよ!
しかし、設置スペースが限られていたり、かなりの重量があったりと、簡単には移動できないケースも多いですよね。
そんなときは、室外機用の日よけカバーを設置したり、少し離れた場所に植木をおいたりするなどして、日陰をつくってあげてください。
室外機の温度上昇を防ぐのに役立つでしょう。
さらに、室外機は風通しの良い場所で力を効率よく発揮できます。
吹き出し口の近くに物があると、余計な負荷がかかってしまいます。
室外機の周りは整理整頓し、できる限りきれいな状態を保つように心掛けましょう。
10年前、20年前と比べてエアコンの電気代は安くなっている
出典:※経済産業省 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ」を元に日経トレンディネットのライターが作成したグラフ
10年前、20年前と比べるとエアコンの電気代はどのくらい安くなっているのでしょうか。
グラフを見ると、1995年から2000年までの5年間では、エアコンの電気代が約3分の2まで減少、1995年から2005年までの10年間では半分近くまで減少。
さらに、1995年から2015年までの20年間では、約44%もの省エネを実現することに成功しており、2006年を境にほぼ横ばいで推移する形となっています。1990年代に購入したエアコンを使い続けている人は、電気代が大幅に変わっている可能性はあるものの、2000年以降にはエアコン技術の進歩のおかげで、電気代が減ってはいるものの大きな変化はしていないと考えられます。
家庭のエアコンが購入から10年経過している、1990年よりも前に購入したという方は、エアコンの買い替えを検討すべきだといえるでしょう。
期間消費電力量については、以下の章で説明しています。
エアコンの電気代を節約する方法
「暑いからとりあえず冷房のスイッチをつける」、こんな普段の何気ない行動が、大きな無駄を生んでいるかもしれません。
エアコンの設定にも気を配ることで、電気代もずいぶんと変わってきます。ここでは、その重要性について確認していきましょう。
±1℃が効果絶大!
エアコンの設定温度を夏であれば1℃上げ、冬であれば1℃下げるという方法です。
エアコンの省エネ方法の定番ともいえるので、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
この方法は環境庁も推奨していて、「1℃上げるだけで約13%もの電力削減になる」とされています。
なお、環境省はエアコン使用時の適温も推奨していて、冷房の場合は28℃が目安です。
風量は「自動」がおすすめ
「微風」が一番節約になると思われがちですが、すべての場合に当てはまるわけではありません。
確かに、同じ時間あたりの電力量が最も少なく済むのは微風です。
しかし、パワーが弱い分だけ部屋を冷やすのに時間がかかってしまうのが難点です。
エアコンが最も電力を消費するのは、部屋の温度を変えるとき。その時間は短い方が節電につながります。
「自動」に設定しておけば、はじめに強風で一気に部屋を冷やし、室温が快適になったら微風に変えてくれます。
必要なときに、集中的にパワーを使うことで、結果的に節約につながります。これを自動でやってくれるのですから、大変便利な機能ですよね。
ドアを閉める
部屋のドアが開いたままになっていると、温度をコントールする範囲が広くなり、その分だけ電力の消費も大きくなります。
人がいない空間を快適にする必要はありません。ドアをしっかり閉めて冷やす空間を限定するようにしましょう。
冷えた空間から冷気が逃げないようにするのも大切です。
頻繁にドアを開け閉めしていると冷えた部屋の空気が、外の熱気と混ざってしまいます。できるだけ同じ部屋で過ごすといった工夫も有効ですよ。
また、近頃は、自宅で荷物を受け取る機会も増えているのではないでしょうか。
複数の荷物があるときは、一度に受け取れるようにするとよいでしょう。外の熱気が入り込む機会を最小限に抑えられますし、配送業者の方々の負担軽減にもつながります。
空気を循環させる
冷たい空気は、下に溜まりやすい性質を持っています。この循環をよくすることで、涼しさを感じやすくするのです。
扇風機やサーキュレーターで室内に風を起こすと、冷気が部屋全体に行き渡ります。
こうすることで、効率よく快適な室温を作り出せるのです。風があれば体感的にも涼しさが増しますね。
ちなみに扇風機とサーキュレーターは同じものと思われがちですが、目的が異なっています。
扇風機は、人が風に直接あたって涼むためのものです。一方のサーキュレーターは空気の循環が主な目的です。
エアコンとの併用なら、部屋の空気を均一に循環できるサーキュレーターがおすすめですよ。
ただ、サーキュレーターを使えば必ず電気代が下がるというわけではありません。
使い方を間違えると、逆に電気代が高くなってしまうことさえあります。
うまく空気を循環できていないと、エアコンが室内の温度差を解消しようとフル稼働してしまうため、一層電力を消費してしまいます。
電気代の節約につながらないばかりか、サーキュレーターの電気代も上乗せされてしまうことになるので、置き方には注意が必要です。
サーキュレーターの置き方のポイント
効率よく空気を循環させるには、二つの置き方があります。
まず一つ目はエアコンの送風口に向ける方法です。出てきた冷気を部屋全体に拡散できます。
二つ目は、エアコンから少し離れた場所に背を向けて置くという方法です。
下に溜まりやすい空気を取り込んで、壁伝いに天井まで行き渡らせます。
家具が少ない部屋ならば一つ目の方法がおすすめです。
家具が多い部屋でも、二つ目の方法ならば、冷気がまんべんなく行き渡るでしょう。
ちなみに、一つ目の方法は暖房でも有効です。
暖かい空気は上に溜まりやすいという性質があるので、二つ目の方法では効果がありません。
家具が多い部屋で暖房を使うなら、サーキュレーターは真上に向けて置きましょう。
これで天井付近に溜まった空気を部屋全体に届けられますよ。1年を通して使う場合には、夏と冬の置き方の違いに気を付けてください。
▼こちらの記事では、扇風機をお得に購入する方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
電力会社のプランを見直す
最も効果的な方法は、電力会社のプランを見直すこと。
プランと言っても、基本料金が0円のプランや、日中の電気料金が安くなるプランなどさまざま。
自分のライフスタイルに合ったプランに切り替えれば、毎月の電気代の節約につなげることができますよ。
新電力会社のホームページのほとんどに、現在契約している電力会社から乗り換えると月々どのくらい安くなるのか料金シミュレーションできます。
契約を検討している電力会社が決まっているという場合でも、そうでない場合でも、さまざまな電力会社の料金シミュレーションをするのがおすすめです。
乗り換えにおすすめな新電力会社
ここでは、乗り換えにおすすめの新電力会社をご紹介します。
それぞれの電力会社の特徴や供給エリアも詳しく紹介するので、切り替えの参考にしてください。
Looopでんき
出典:Looopでんき
「Looopでんき」の新規申込受付は一時停止しています。
Looopは2011年4月、東日本大震災の被災地に太陽光発電をきっかけに設立された会社。
2015年に大規模需要家向けの高圧小売サービスを開始し、2016年に一般家庭や小規模ビジネス向けの低圧小売サービスを開始。
Looopでんき最大の特徴は、基本料金が0円で、使用した電力量に応じて電気代を支払うシステムです。
基本料金が0円なのは、原子力発電所や火力発電所のような、大規模な施設を持っていないため固定費が少なく済むため、その分料金プランにも還元されているから。
さらに、電気の供給エリアも全国に対応しているのもメリットといえます。
Looopでんきの料金プランは、ファミリー世帯など家庭での利用を目的とした「おうちプラン」と、事務所や飲食店など電気をたくさん利用する人向けの「ビジネスプラン」があります。
まとめ
身近な家電であるエアコンは、その使い方を改めて振り返ることはあまり無いかもしれません。
ですが、使い方次第で電気代を今以上に節約できますよ。
常日頃から使うものなので、少しずつの節約でも、積み重なれば大きな金額になります。
まずは、エアコンの買い替えを検討したり、エアコンのお手入れをしたりして、電力の消費効率を上げる取り組みをしてみましょう。
さらに、エアコンの設定や室内の環境にも気を配るのがポイントですよ。
無理して暑さを我慢するのではなく、日頃の小さな取り組みで、快適さを保ったまま電気代を節約できます。
この記事を参考にして、賢く節約を楽しみながら、暑い夏を乗り切りましょう!